こんにちは。葛飾区ゆめピアノ教室のいしごうおかです。
きょうは、ピアノ初心者によくありがちな指づかいの軽視についてお話してみたいとおもいます。
いきなり結論めいた話になりますが、ピアノの上達において、初心者がおもっている以上に指づかいは重要です。
指づかいを意識した練習は、とても効率的です。
逆にいえば、楽譜の音符だけに目を奪われ、指使いなんてなんでもいいといったような態度でピアノの練習をつづけることは、とんでもなく非効率なんです。
指使いなんて、すごく細かいことをいわれるようだし、面倒なことをいわれると感じるピアノ初心者も多いかもしれません。
譜面を読んでいくだけでも精一杯で、自分にはそんな余裕はないと。
それでもあえて指使いに注意を払ってほしい。
自分に合った指づかいを見つけられるよう、常に考えて指導しています。
その方法ですが、まず最初は、楽譜の指づかいに従ってみると良いと思います。
それは、理にかなったひとつの解法だからです。
だから、それに従う。
もし、いきなり自分で適当に指づかいを決めることから入ってしまったとしたらどうなるでしょうか。
その人それぞれに、自分の自由が利きやすい指(123など力が入りやすい指)ばかり使いがちになります。とくに、ピアノ初心者はそうなりがちです。
でも、それは客観的にみれば、しばしば不合理な指づかいになっています。
理屈に合わない指で弾くのは、効果的とは言えません。
そして、自分流で一度覚えてしまうと、なかなか変えるのが大変ですから厄介です。
そうではなく、まずは楽譜の指示にしたがってみる。
だけど、それがどうしても自分にしっくりこないときは、今習っているピアノの先生と相談しながら、自分の弾きやすい指づかいをいっしょに探してもらいます。
先生に相談することで、同時にあなたにとっていちばん合理的な指づかいを発見できるでしょう。
ここまでが、指づかいを身に着ける態度として、基本になります。では、どうしてこういった態度で臨むことが、ピアノの上達において効率的なのでしょうか。
それは、あるフレーズにおいて指の動きの「型」が生まれるからなんです。
パソコンキーボードタッチにも、似たような「型」があります。
たとえば、キーボード上の「I」をたたくのに、そのたびごとに「人差し指」か「中指」かで迷っていたとしたらどうでしょう?
たぶん、いつまでたってもぎこちないキーボードタッチになるはずです。
それでは、早くスムースに文字をうつことができないのは想像に難くないでしょう。その「I」は、右手の「中指」でたたくと決め、その「型」でもって量稽古をする。そのことで、指に流れでき、文字を早くうつことができていく。
そういうスムースな流れをつくりだすことが、ピアノのフレーズを弾くときの指づかいにもかかせないのです。
その「型」を一度指が覚えてしまうと、似たようなフレーズや違った鍵盤の位置でも、すっと再現できてしまう。つまり、ひとつの「型」は応用が効くのです。
それに、完成した「型」というのは、連続した動作の自然な流れを生み出しますから、フレーズからフレーズへ自然につなげることができる。
ですから、ピアノの弾き手は、音楽をひじょうに心地よくつくりだしている感覚をもつことができます。
そんな演奏は、傍から見ていても危なげなく、安定している。ときに美しいとさえと感じられるものです。
譜読みするとき、指づかいが定まらないまま音を追っかけるより、指づかいと音を連動させて覚えていく方が 音楽の進行に流れが出てきます。
「親指と人差し指の並んだ指で、こういうフレーズの繰り返しだな。」「このフレーズは上方の小指から降りてきて親指で終わる。その次は間髪いれずその親指をくぐらせながら薬指の音へ飛ぶんだったな」といった調子で、フレーズとフレーズをスムースな動作でつなげていけるのです。
ここで、さらに重要なことをつけ加えましょう。
指づかいの「型」を身につけると、さらにいいことがあります。
指づかいの「型」ができれば、音の粒を揃える練習、手を広げる練習、指くぐりの練習・・・等々、次の技術ステップにスムーズに移行できるのです。
言い方をかえれば、「指づかいの型」の習得によって、技術上の弱点が見つけやすくなって、ステップアップを確実にすることができるのです。