おなじ楽譜でも、演奏に違いが出る理由

こんにちは。葛飾区白鳥ゆめピアノ教室のいしごうおかです

同じ楽譜を使って楽譜どおりに弾いていても、人によって演奏は違って聞こえます。
もちろん、初級者と上級者の演奏を比べれば差が出るのは当たり前ですが、プロのピアニスト同士でも演奏する人によって印象が違います。

これは、同じレシピを見て料理をしても、作る人によって出来上がりの味に違いが出る理由と似ています。

たとえば、レシピに「千切り」と書いてあっても、人によって千切りの太さがまちまちだったり、「弱火」「中火」「強火」などの火加減にも個人差があります。ちなみに私のは「百切り」です。(太い!)
その他、火を通すタイミングや塩少々の「少々」の加減など、小さな様々な違いが出来上がった料理の味の差につながります。

ピアノ演奏でも、音の強さやニュアンス、速度の変化など、楽譜に書かれた指示をどのように解釈、判断して表現するかで演奏の仕上がりに大きな差が出るのです。

違いは「個性」!

しかし、違いが出ることは決して悪いことではなく、むしろその違いこそが「個性」として大切にすべきポイントなのです
楽譜に書かれたとおりの音を間違いなく弾くことはもちろん大切
それ以上に演奏の仕上がりを左右するのは、料理で言えば「味付け」、音楽では「表現」するテクニックです。

「あの人の作ったアレが食べたい」というのと同じように、「あの人の弾くあの曲が聴きたい」と言われるような演奏が出来たら素晴らしいですね。

「どのように弾きたいか」曲についてイメージをもつ

ほとんど味のしない料理を美味しいと思わないのと同じように、表情に乏しくただ正確な音が鳴っているだけの演奏もあまり上手には聞こえません。

演奏の上手い下手は、弾く人の表現力で決まると言っても過言ではありません。
表現は豊かであればあるほど、演奏は深みを増し説得力をもちます。
そのためにはまず、曲について「このように弾きたい」という自分なりのイメージをもつことが大切です。

「弾くことに精一杯で、表現するところまで余裕がない」、または「何をどのように表現していいのかわからない」という人も少なくないと思います
それでは人に伝わる音楽は奏でられません。

ピアノの練習というと、どうしても指を動かすことに意識が偏りがちですが、音の響きにもしっかり耳を傾け、表情豊かな演奏ができるよう心がけたいものです。

表情豊かな演奏のための第一歩

楽譜に並んだ音符や記号、音楽用語から曲のイメージをふくらませ表情豊かな演奏をするには、具体的に何をすればいいのでしょうか?

まず、「明るい感じ」「悲しい感じ」というような漠然としたものでも構わないので、曲から感じる雰囲気や色、思い浮かぶ情景、季節、曲から連想するストーリーなど、すべて書き出してみましょう。
心の中で思っているだけでなく、具体的に言葉に置き換えてみることで、自分の表現したいイメージがはっきりしてきます。
表現の目指すべき方向が決まったら、あとは聴いている人にそれが伝わるように演奏を仕上げていけばいいのです。

楽譜に書かれた「表現」に関わる記号と用語

楽譜には、表現に関わるさまざまな記号や単語が記されています。それらを、大まかに以下の5つに分類してみました。

表現に関わる音楽用語、記号の表

楽譜に書かれた「表現」に関わる表記

これらの表記を実際にどのように演奏の中で反映させるかは、ピアノのみならずあらゆる楽器で演奏の出来栄えを左右する大切なポイントとなります。
今後の記事では、それぞれについて具体的な例を取り入れながら、ひとつずつ丁寧にご紹介していきます。