こんにちは。葛飾区白鳥ゆめピアノ教室のいしごうおかです。
私の仕事はピアノや音楽の基礎をお教えすること。
それから、ピアノを弾くことも大切な仕事です。
本当は、コンサートや地域のイベントで、一人で弾けたら素敵でしょう。
今まで私が習ってきた先生にも、そういう方がいます。
でも、残念ながら向いていないようです。
サマーコンサートでもお気づきでしょうが、
ほかの誰かと一緒にアンサンブルするほうが
ずっと向いています。
ピアニストは、仕事の幅が広い仕事
ソリストの音をよーくきいて、
うまく引き立つように、掛け合いではしっかり
うたえるように。
ソリストが大きく息をしたいところでは、
待ってあげて。
そんなことを考えながら、ほかの方と合わせるのは楽しいです。
本番でも、あがったりしません。
プロの声楽家も 地味な部分練習をしています。
今回は、テノールとカウンターテナーの
飯嶋さんの伴奏をしてきました。
飯嶋さんは、週2回2時間、
高円寺のピアノバーを借りて「定例げいこ」をなさっています。
ピアニストを呼んで、自分の練習をするのです。
一般的に、伴奏者は「ソリストに依頼された曲」を
伴奏します。
私がいまピアニストとしてうかがっているアルプス合唱団も
本番に向けて、ヘンデルのメサイヤを練習しています。
わたしへの依頼も、来週はメサイヤの中でも
もっとも有名な≪ハレルヤ≫です。
ところが、飯嶋さんはピアニストに
「自分の得意な伴奏曲、好きな歌曲」を
尋ねてくださいます。
私は、日本歌曲は苦手。
特に、林光作曲のものは、調性がなく、
臨時記号が多い。
普段弾いている古典~ロマン派の曲と
だいぶ勝手が違います。
学生の時にイタリア歌曲や、ヴェルディ、ドナウディなどは
自分もレッスンで歌いました。
伴奏もそれなりに弾いたし、楽譜も持っています。
それをお伝えすると、
「では、慣れているドナウディから4曲」ということになりました。
実際に練習に伺うと、
まずエチュードをいくつか合わせて、
「どれか好きな曲はありますか」と聞かれました。
「どうかふいておくれ」というのは
うたったことがあり、歌詞も完全に覚えていました。
30年ぶりでも忘れてなかったんです。
「ではそれを」ということで、
合わせました。
私がいたっていた曲とは完全に別物です。
豊かな声で、クレッシェンドも
すごく盛り上がって計算されていて・・。
同じ人間の体から、こんな声が出るのだなあ…
そして飯嶋さんは、
「自分では、音が下がったりしたことに気づかない。
ピアニストは、常に正しいピアノの音を聞きつつ
声を聴いているから、敏感なんです。
きがついたことがあったら教えてくださいね」
本当に珍しいことです。
ソリストから伴奏者に、「ここはもっとゆっくり、
小さく弾いて。テンポは遅くして。」と
注文がつくのが当たり前なのです。
飯嶋さんのご希望なので、
「同じ音が二つ続くと、あとの音が下がります」
というと
「ああ~なるほど。じゃあそこは注意して、もう一度」
なおすために、何度も同じところを練習します。
ここは、ピアノの部分練習と同じです。
プロの方も、こうやって人の助けを借りながら、
地味な練習をなさっています。
小さなピアニストの皆さんも、頑張りましょうね。